いつもお世話になっているお客様のご依頼で、電気設備改修工事にお伺いしてきました。
今年の正月明け頃に、「電気代が高いんで、ちょっと相談に乗ってもらえませんか」と、産婦人科病院を経営されていた奥様からご相談をいただきまして、現地調査にお伺いしていました。
現在は廃業されていて、建物内には誰も住んでいません。
当時は電灯契約だけでなく、動力契約もありましたが、現在は動力回路のメーターは外されています。
電灯回路は1階2階3階とCKSで分けられていて、1階のみ通電状態で使用されています。
誰も居ないのに何に使っているかと言うと、地下にそれがあります。
排水用の水中ポンプです。
地下のため、大雨が降ると水没してしまうんです...
それを避けるために、ある程度水が溜まると、自動的にポンプが作動して排水される様になっています。
そうなんです。
定格出力がたったの0.4kWのポンプ。
雨が降った時だけ動くんだったら、水がなければ電気代なんか掛からないじゃないと思いますよね。
違うんです。
ちょっと古いレシートですけど、現在も金額は変わっていません。
これ、使用量0kWhなのに、請求金額が2,563円掛かっています。
と言うか、これ0kWhなので、基本料金が半額になって2,563円です。
1kWhでも使うと、この倍の基本料金+使用量が請求される仕組みになっています。
なぜそんな事になっているかと言うと、建物内に電気設備機器がすべて残っているからです。
その機器の合計契約電力容量が「14kVA」ですから、契約種別が「従量電灯B」という契約になっています。
従量電灯Bとは、下記の様な内容です。
1kVA当たり374円の基本料金ですから、14kVA×374円=5,236円。
まったく電気を使わない月は、これの半額が請求される契約になっています。
ちなみに、一般的な住宅の契約は「従量電灯A」です。(オール電化などの場合は他にも契約方法があります)
従量電灯Aは、電気設備の合計が6kVA未満であれば契約可能です。
毎月の料金がかなり違いますよね。
ポンプの定格出力は400Wですから、建物内の電気設備を全部切り離して、ポンプだけにしてしまえば、従量電灯Aに切り替える事ができます。
はぃ。簡単に言いましたけど、結構手間が掛かります(^_^;)
まずは、現状設備をどの様にして切り離して、どうやってポンプだけの回路にするかを、図面を描いて四国電力へ申請を行わなければなりません。
今回はポンプと、ポンプ室までの通路にセンサー付き照明器具を設置する様に設計しました。
何度か電力さんと打ち合わせを行って、お互いの妥協点をすり合わせてOKをいただきました。
では工事に掛かります。
建物内にある電気設備をすべて切り離すには、これが一番です。
メーター以降のCKSをすべて撤去しました(^_^;)
これでこの建物の電気設備はすべて使えません。
ここからポンプと照明の電源回路を新たに敷設していきます。
塩ビ管とPF管を使って、ケーブルを保護します。
延々と地下室へ延ばしていきます。
配管・配線作業が終わると、先ほどCKSを撤去したところに20Aの漏電遮断器を設置。
一次側はIV38sqですが、これはこのまま流用します。
電圧をチェックしておきます。
100Vしか使いませんが、既存の単三メーターもそのまま流用です。
IV38sqのケーブル流用も、単三メーター流用も、電力さんとの打ち合わせの上で流用を決めています。
一次側ケーブル入替えとなると、かなり費用がかさみますから。
ポンプ側のコンセントで電圧測定を行って、コンセント回路完了。
コンセントは、もしポンプの不具合でコンセントが水没しない様に、高い位置へ設置させていただきました。
照明にセンサーが付いているし、ブレーカーもあるので、照明のスイッチは不要かと思いましたが、お客様のご希望で取付けました。
そのセンサー付き照明器具ですが、、、
半導体不足の影響をモロに受けているため、この時点で注文を入れても納期がまったく出ないと言う状況でした。
え?注文したのは1月下旬です(^_^;)
仕方ないので、事情を電力さんへ説明して、契約の切替えだけ先にお願いしておきました。
電力側の作業としては、引込みケーブルを電気容量に見合ったサイズのケーブルに張替えてくれます。
さて、まったく納期が出なかった照明は、今週始めに突然入荷してきました(^_^;)
予定がびっちりなので、いつ行こうかと思ってたんですけど、今日は朝から生憎の雨模様で工事が延期になりまして、夕方、雨が上がったのを見計らって取付けにお伺いしてきました。
いやぁ、何ヶ月掛かってるんですか...
センサー関係は半導体不足の影響をモロに受けていますから、注文はかなり前もって行わなければなりませんね。
「ありがとうございました。これで電気代も安くなるし、建物が古いけん漏電の心配もなくなったし、安心しました。またお願いしますね。」と、大変お喜びいただきました(^^)
アベ冷熱技研は登録電気工事業者で、第一種電気工事士が責任を持って電気工事を行います。
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