2025年8月25日月曜日

エアコン使い過ぎて停電...メインブレーカー60Aなのに?

先々週は長いお盆休みをいただいていましたが、実は休み中もいろいろとエアコンの不具合などのご連絡をいただいていましたが、ほぼお電話やメールで済む案件でした。
その中で、通常なら緊急案件というご連絡が、古くからお世話になっているお客様からありました。

「阿部さん、お休みのところすみません。ブレーカーは切れてないのに、エアコンが全部使えなくなって、キッチン周辺のコンセントとか照明だけ使えるんですけど、これどういう事か解りませんか?」と。
以前にも他でこういうお問い合わせがありましたから、四国電力へ相談されてみてくださいと一旦電話を切りました。
ブレーカーが切れてないなら、電柱側のヒューズだろうという考えです。
しばらくしてお客様からご連絡があって、「スマートメーターで電圧確認したら電力側の異常ではないので、電気工事屋さんに確認してもらってください。と言われました。」と。

ああ...分電盤のメインブレーカーの故障かなぁ... 盆休みなのでブレーカーは手に入らないし...と考えていると、「阿部さん、これ自宅じゃなくて別宅の方なんで、とりあえず冷蔵庫は使えてるんで、盆休み明けでいいですよ。エアコンで忙しいでしょうから、9月でもいいし。」とのお言葉にベッタリと甘えさせていただいていました。

でもまぁすごく気になるので、盆明けに点検にお伺いしていました。
分電盤のメインブレーカーは60A。
十分な容量があって、ハンドルはONになっています。

単相3線式なので一次側の線は、R相(赤)・N相(白)・T相(黒)の3本線でメインブレーカーに接続されています。

まず、T相とN相の間の電圧を測ると100V以上出ていて異常なし。

次に、R相とN相の間の電圧を測るとほぼ0V... 
メインブレーカーの異常ではなく、R相側が欠相している(切れている)様です。

でも、電力さんはスマートメーターまでは異常なしと判断されていました。
スマートメーターのところへ行ってみると、古いボックスが...

蓋を開けると、、、うわぁ...CKS(カバースイッチ)だ...

しかも、30Aって記載がありますよ...
分電盤のメインが60Aなのに、CKSが30Aって狂ってますよね...

カバーを開けてみると案の定...

R相側のヒューズが見事に溶断していました。
CKS内にはこの様なヒューズが入っていて、容量を超えるとヒューズが溶けて回路を遮断して、ケーブルが燃えない様に保護する仕組みです。
近年ではCKSは使われません。ブレーカーを設置するのが基本です。
今回の様に、ヒューズが切れてしまうと交換するまで電気が使えないからです。

そもそも分電盤が60Aメインなのに、なぜ30Aなのか。
お客様にお聞きすると増改築を繰り返していて、建築屋さんが連れてきた電気工事屋さんが分電盤を取付けた様です。
本当に電気工事屋さんだったんでしょうか?
有資格者ならこの様な工事は行いません。

引込点からメーター経由~分電盤までのケーブルサイズは8sqでした...

VVR8q×3cなので、ケーブルの許容電流は40A程度です。
60Aメインは恐ろしいですね。
30AのCKSが無かったらと思うと、ぞっとします...

さて、どうしたものかと言うことで、数日考えて本日この様にしました。
CKSを取外して、サーキットブレーカーに替えました。

電力申請してケーブルを張り替えて、分電盤の60Aメインを目一杯使える様にするのが最善策である事は百も承知ですが、そうなると結構な費用が掛かります。
増築を繰り返しているので正確な図面も無いため(本来であればないとオカシイ)、建物の図面から作らないといけないため、かなりの時間も掛かります。
最初に書きましたが、この建物、自宅ではなくて別宅です。
たまに来ては寝泊まりする程度の状況で、急いで費用を掛ける必要はありません。
今回はエアコンを使い過ぎてヒューズが切れたんですから、使い過ぎない様に使えばいい話ですね。

という事で、CKSをブレーカーに交換して、すべての電気が使える様になりました。
これで終わりではなくて、分電盤に行き先表示がなかったので、各回路を調べてみたら...
上段に100Vのエアコン回路が並んでいました...
上段がR相側ですから、エアコン3台を一斉に運転すると切れて当然ですね。

ちなみにリビングの200Vエアコンと寝室の100Vエアコンを運転している状態で、電流値を測ってみます。
まずはT相。 5.48A。

R相は... 19.4A...
流れる電流値が非常にバランスが悪い状態です。

R相とT相にバランスよく配分するために、エアコンの回路を振り替えました。

これで少しはマシになりました。
はぃ。マシです。完璧ではありません。
どちらかの相で30A以上電流が流れると、メーター脇の30Aブレーカーが切れる事になります。
この状態をしっかりとお客様にはご説明させていただいて、今回はこれで復旧完了とさせていただきました。

ちなみにこの様な修理作業は、基本的に施工した業者さんへ依頼をお願いしています。
懇意にさせていただいているお客様以外はお引き受けしませんのでご了承ください。

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