2025年5月12日月曜日

量販店に断られたエアコン取付工事と電気容量増設工事

Blogをご覧になった初めてのお客様から、エアコン取付工事と電気工事をご依頼いただきました。

「高齢の両親の家が古く、エアコン設置をあきらめていました。昨年の夏は暑く父は熱中症で倒れてしまいました。何とか助かりました。今年はエアコン設置をしたいと強く考えています。ただ、量販店では断られ絶望していたところ、プログを拝見させていただき、連絡しました。」と、現在は他で暮らされている娘さんからご相談いただき、現地調査にお伺いしてきました。

建物は古民家な雰囲気で、かなり年季が入っています。
これまでエアコンは無く、夏は扇風機、冬はヒーターを使われていました。
ご両親の寝室にエアコンを取付けてほしいとの事です。

エアコンには専用コンセントが必要ですから、分電盤から専用ケーブルで引いて来なければなりません。
分電盤は...

おお。確かに、この状態ではどこの量販店に頼んでも断られますね...
ブレーカー2個と、左にあるのはヒューズボックスです。
何十年かぶりに見ました。
漏電遮断器が無いので、とても危険です。
たまにブレーカーが落ちるとの事ですから、とりあえずブレーカーとしては動作している様です。

電力メーターを確認すると、単相2線式です...
2本線なので100Vしか取れない上に、最大3,000Wまでしか使用できません。
これは四国電力へ申請して3本線に張り替えて容量を上げないと、エアコンを取付けても安全にお使いいただくことはできませんね。

電柱からの引込点を確認すると、分岐して隣の倉庫へ行っています???
お客様に確認すると、隣の倉庫は別の方の建物だそうで...
これはちょっとややこしくなりそうです。

とりあえず見積もりと電力申請のために、建物の電気設備の状態を確認していきます。
お父様が元気な頃に電気の線をいろんなところに延長された様で、屋外の軒下やらいろんなところでタコ足状態になっています...

キッチンは高容量の電気製品が多いので、タコ足にしていると熱を持って火災になる確率が高まります。

各部屋のコンセントも少ないため、照明のところからも分けて使っている状態です。

一番危険なのは、こういうヒーター系です。
冬は寒い様で、たくさんのヒーターが置かれていました。

これもタコ足状態で、よく今まで何もなかったですねと思います。

という事で、エアコン工事より電気工事の方がメインになりそうですが、「急がないので、阿部さんのできる時にやってもらえたら」ということでお引き受けしました。

まずは四国電力へ容量増の申請を行うため、図面の作成から取り掛かります。
建物が古くて建築図面すらないため、すべて最初から描かなければなりません。

電力申請を行って、受理されれば工事に掛かります。
今回、エアコン専用コンセントだけでなく、各部屋にコンセントを4個所増設します。
ブレーカーのところから、各部屋へケーブルを通していきます。

古い農家の建物で天井上は農具倉庫になっているそうで、天井裏隠蔽はできないのですべて露出配線で引いていきます。
「こういう建物なんで、見た目は気にしませんから。安全に使えるようにしてもろたら十分です。」とのことで。

コンセントが欲しい場所をお聞きしながら、各部屋へ新しいコンセントを取付けていきます。

洗濯機などの水周りにも一つ。

エアコン専用コンセントも増設できました。

では本題のエアコン取付けに掛かります。
位置決めをして、背面板を設置。

HEPAフィルター付きの掃除機で吸引しながら、配管穴を開けていきます。

土壁なのでこれ以上崩れない様にするためと、配管保護のために貫通スリーブとキャップを取付けておきます。

室内機を掛けて、配管類を接続していきます。

縁側があるので、一部室内を通ります。

ガラスを一枚外して板を取付け、配管穴を開けて通しました。

配管接続完了後、電動式真空ポンプを使って配管内部を真空乾燥させます。

室外機周りはこんな感じで完成。

とりあえず仮に運転して、異常がないことを確認しておきます。

さて、電気工事に戻ります。
これを分電盤に取替えます。

既存のブレーカー類を撤去。

分電盤を取付けて、ケーブル類を接続していきます。

四国電力から電力メーターを送ってもらって、単相3線式に変えていきます。
幹線ケーブルは、VVF2.6mmx2cからCV-T8sqへ張り替えます。

電柱から引込点までは四国電力持ちなので、とりあえず仮設で接続しておきます。

分電盤に各ブレーカーの行き先表示を入れて完了です。
主幹ブレーカーは50A。分岐回路は12回路。
将来、他の部屋にもエアコンが増設できる様にしておきました。

あと、蛍光灯を全部LEDにしたいとのご希望で、、、

5台、LED化させていただきました。

古い袋打ちコードはすべて撤去です。
以前、お客様が触って感電したそうです...

目についた危なそうな延長コードはすべて撤去しました。

ブレーカーの脇に付いていたヒューズボックスを開けて見ると...
ヒューズでなく、芯線が使われていました。
恐ろしいですね。外して良かったです。

宅内の電気工事が完了すると四国電力へ竣工届を送ります。
受理されると引込班が来て、電柱から建物までの引込ケーブルを張り替えてくれます。
隣の倉庫に分岐されていた引込線は、新たに電柱からその倉庫へ直接引き替えてくれました。
いろいろと大変だった様ですが、電力さんが全部対応してくれました。

これですべての工事が完了して、晴れてエアコンが使える様になりました。
「阿部さん、引き受けてもらってホントにありがとうございました。これで今年の夏は熱中症にならずに済みそうです。また何かあったら助けてくださいね。」と、大変お喜びいただきました(^^)

アベ冷熱技研は「一級冷凍空気調和機器施工技能士」「第一種電気工事士」の責任施工。
お客様にぴったりの機種選定から、機器を長持ちさせるエコロジー工事まで、お気軽にご相談ください。

2025年5月10日土曜日

既存配管穴流用でミリ単位のシビアなエアコン取付工事

いつもお世話になっているFB友さんがお引越しされるという事で、3台のエアコン移設工事にお伺いしてきました。

移設工事なので、先月後半にまず3台取外しにお伺いしていました。
取外しの模様は割愛します。

お引越し先は一軒家の借家です。
各部屋には専用コンセントと配管穴があります。
まず1台目から取り掛かります。
配管穴の位置が残念ですねぇ...

もともとここに室内機を取付けていた跡がありますが、配管穴の通りに取付けてしまうと、収納の扉が全開にできなくなります。

なぜこんなところに穴を開けたんだろうかと、外から見ると。
アクリル屋根を支えている梁があるんですね。
これは仕方ない。

穴の位置は変えられないので、室内機の取付位置を工夫します。
右の配管穴と扉の位置。左のコンセントの位置。上はガラス窓。
四方八方どうにもならない状況でも、ミリ単位で全方向を測って背面板を設置。
(コンセントは左に3mmほど寄せました)

配管接続口は穴の中になってしまうので、先に配管を繋いでから室内機を掛けます。
これ、パナソニックのフィルター自動掃除機能付きで、他のメーカーには無い排気ホースが余分に付いている上に、重いのです...
配管を押し込みながら脚立に上って、あの背面板へ掛けなければなりません。
基本、こういう作業は二人でやるものです。

案の定、脚立の上で倒れそうになりながらも、なんとか掛けることができました。
掛けた後はしばらく動けなかったので、設置後の写真がありません。

外部配管は既存のスリムダクトを流用。
排気ホースがあるので、カバーを加工して処理しました。
(パナソニックでなければこんなもの必要ありません)

配管接続完了後、電動式真空ポンプを使って配管内部を真空乾燥させます。

室外機周りは、こんな感じで完成。
排水は近くの排水口まで、塩ビ管を使って導きました。

作業が終わると試運転を行い、異常がないことを確認して1台目が完了です。
室内側配管がテープ巻きなので見た目が残念ですけど、収納の使い勝手が悪くなるよりは良いという事で。

室内機上部はこんな感じ。

左のコンセントとほぼピタ。

収納扉とフラップはギリ当たらない。
(パナソニックのこの機種は、フラップが左右目一杯幅があるのでこんな事になります)

う~ん、阿部的にはもうちょっとやり様があったなと思いますが、借家なので無理せずという事で。

さて、実は1台目の取付けは昨日の午前中行っていました。
朝からずっと小雨が降っていまして、屋根があったから1台目は完工できましたが、午後からの予報が荒れ模様でしたので、2台目以降は本日にさせていただきました。
まぁこんなこともあろうかと、工程を2日間取っていたので何の支障もありません。

で、本日、2台目に取り掛かります。
この部屋も「なんでここ???」という感じです...
そもそもこの建物の設計が悪いですよね。
コンセントの位置もそうですが、サッシが高すぎて天井とサッシの間に設置できるエアコンは限られています。

恐らく以前取付けてあった室内機は、高さ250mmのものだったんでしょう。
穴の下面まで300mmしかありません。
ここに高さ300mmの室内機を取付けなければならないのですよ...

カーテンレールは下げればいいですけど、穴の位置を変えることはできません。
もうビチビチですよ。
背面板の上と天井の隙間は27mmほどしかありません。
メーカーの施工基準としてはNGです。

左配管ですから、これも配管を繋いでおいて掛けるしかありません。

もぅ身体ボロボロになるんじゃないかと思うくらい必死で掛けました。
上の爪がなかなか掛かってくれなくて、脚立の上で10分くらい格闘の末。

上はこんな感じ。本来であれば、こんな施工はダメです。
メーカーの施工基準では、上部は5cm程度空けておかなければなりませんから。

それでもドレンの勾配はきちんと取っています。
当然ですが、水漏れが起こるのは本末転倒ですから。

配管接続完了後、電動式真空ポンプを使って配管内部を真空乾燥させます。
今日は打って変わっていいお天気で、暑いくらいです。

室外機周りは、こんな感じで完成。
既存配管化粧カバー流用。ドレンは排水口まで導きました。

作業が終わると試運転を行い、異常がないことを確認して2台目が完了。
う~ん...なんともなんとも...

3台目はびっくりするくらい標準的です。
と思ったら、配管穴の位置がとても気になります。

やっぱりやってしまっていました。
どう見てもそこに柱ありますよね?
抜いてしまっているものは修正できませんから、流用します。

室内機を掛けて、配管類を接続していきます。

配管接続完了後、電動式真空ポンプを使って配管内部を真空乾燥させます。

室外機周りは、こんな感じで完成。
花壇なので、泥ハネ軽減のためブロックを敷いています。
隣の室外機は、下面に土がびっしり付着していました。

作業が終わると試運転を行い、異常がないことを確認してお引渡しです。

雨でちょっと時間が掛かってしまいましたけど、無事にご希望の取付場所に設置できて良かったです。

「ありがとうございました。ミリ単位のお仕事で頭が下がります。本当にありがとうございました。」と、大変お喜びいただきました(^^)

アベ冷熱技研は「一級冷凍空気調和機器施工技能士」「第一種電気工事士」の責任施工。
お客様にぴったりの機種選定から、機器を長持ちさせるエコロジー工事まで、お気軽にご相談ください。

2025年5月8日木曜日

冷房運転すると凄い臭いがするとの事でエアコン分解洗浄

いつもお世話になっているFB友さんからエアコン分解洗浄のご依頼をいただき、今朝再取付けにお伺いしてきました。
三菱電機 MSZ-GV2221-W(2021年製)スタンダードタイプです。

4年前にアベ冷熱技研でご購入いただいたエアコンです。
昨年の夏の冷房使い始めに、臭いが出るとの事でご相談いただいていましたが、ちょうど繁忙期真っ只中だった事と、暑くなってきてエアコンを使っているとのことでしたので、昨年は我慢して使っていただいていました。
梅雨時期の湿度が高く、そんなに気温が高くない時期は、内部にカビがあると臭いが出やすくなります。
真夏になって気温が高くなると臭いが収まってくる様になります。
中途半端な時期は生乾き臭が出やすいですね。

室内機を取外して、しばらくお預かりします。

お預かりした室内機を丸洗いするため、電気系統を取り除いて完全分解。

エアコン専用に開発された洗浄剤と、高圧洗浄機でスミズミまで丁寧に洗います。

熱交換器↓

ボディ内部↓

ドレンパン↓

ファン↓

そして本日、取付工事にお伺いしてきました。
室内機を掛けて、配管類を接続していきます。

配管接続完了後、電動式真空ポンプを使って配管内部を真空乾燥させます。

作業が終わると試運転を行い、異常がないことを確認してお引渡しです。

「お忙しいのに、ありがとうございました。これで今年の夏は快適です!」と、大変お喜びいただき、お土産までいただきました(^^)

アベ冷熱技研は、空調機器に精通した「一級冷凍空気調和機器施工技能士」が分解洗浄を行うので、安心してお任せいただけます。

詳細及び、分解洗浄の動画をこちらでご覧いただけます。