Blogをご覧になった初めてのお客様から、エアコン取付工事と電気工事をご依頼いただきました。

「高齢の両親の家が古く、エアコン設置をあきらめていました。昨年の夏は暑く父は熱中症で倒れてしまいました。何とか助かりました。今年はエアコン設置をしたいと強く考えています。ただ、量販店では断られ絶望していたところ、プログを拝見させていただき、連絡しました。」と、現在は他で暮らされている娘さんからご相談いただき、現地調査にお伺いしてきました。
建物は古民家な雰囲気で、かなり年季が入っています。
これまでエアコンは無く、夏は扇風機、冬はヒーターを使われていました。

ご両親の寝室にエアコンを取付けてほしいとの事です。
エアコンには専用コンセントが必要ですから、分電盤から専用ケーブルで引いて来なければなりません。
分電盤は...
おお。確かに、この状態ではどこの量販店に頼んでも断られますね...

ブレーカー2個と、左にあるのはヒューズボックスです。
何十年かぶりに見ました。
漏電遮断器が無いので、とても危険です。
たまにブレーカーが落ちるとの事ですから、とりあえずブレーカーとしては動作している様です。
電力メーターを確認すると、単相2線式です...
2本線なので100Vしか取れない上に、最大3,000Wまでしか使用できません。
これは四国電力へ申請して3本線に張り替えて容量を上げないと、エアコンを取付けても安全にお使いいただくことはできませんね。
電柱からの引込点を確認すると、分岐して隣の倉庫へ行っています???

お客様に確認すると、隣の倉庫は別の方の建物だそうで...
これはちょっとややこしくなりそうです。
とりあえず見積もりと電力申請のために、建物の電気設備の状態を確認していきます。
お父様が元気な頃に電気の線をいろんなところに延長された様で、屋外の軒下やらいろんなところでタコ足状態になっています...
キッチンは高容量の電気製品が多いので、タコ足にしていると熱を持って火災になる確率が高まります。

各部屋のコンセントも少ないため、照明のところからも分けて使っている状態です。

一番危険なのは、こういうヒーター系です。

冬は寒い様で、たくさんのヒーターが置かれていました。
これもタコ足状態で、よく今まで何もなかったですねと思います。
という事で、エアコン工事より電気工事の方がメインになりそうですが、「急がないので、阿部さんのできる時にやってもらえたら」ということでお引き受けしました。
まずは四国電力へ容量増の申請を行うため、図面の作成から取り掛かります。

建物が古くて建築図面すらないため、すべて最初から描かなければなりません。
電力申請を行って、受理されれば工事に掛かります。
今回、エアコン専用コンセントだけでなく、各部屋にコンセントを4個所増設します。
ブレーカーのところから、各部屋へケーブルを通していきます。
古い農家の建物で天井上は農具倉庫になっているそうで、天井裏隠蔽はできないのですべて露出配線で引いていきます。
「こういう建物なんで、見た目は気にしませんから。安全に使えるようにしてもろたら十分です。」とのことで。
コンセントが欲しい場所をお聞きしながら、各部屋へ新しいコンセントを取付けていきます。
洗濯機などの水周りにも一つ。

エアコン専用コンセントも増設できました。

では本題のエアコン取付けに掛かります。
位置決めをして、背面板を設置。

HEPAフィルター付きの掃除機で吸引しながら、配管穴を開けていきます。

土壁なのでこれ以上崩れない様にするためと、配管保護のために貫通スリーブとキャップを取付けておきます。

室内機を掛けて、配管類を接続していきます。

縁側があるので、一部室内を通ります。

ガラスを一枚外して板を取付け、配管穴を開けて通しました。

配管接続完了後、電動式真空ポンプを使って配管内部を真空乾燥させます。

室外機周りはこんな感じで完成。

とりあえず仮に運転して、異常がないことを確認しておきます。

さて、電気工事に戻ります。
これを分電盤に取替えます。

既存のブレーカー類を撤去。

分電盤を取付けて、ケーブル類を接続していきます。

四国電力から電力メーターを送ってもらって、単相3線式に変えていきます。

幹線ケーブルは、VVF2.6mmx2cからCV-T8sqへ張り替えます。
電柱から引込点までは四国電力持ちなので、とりあえず仮設で接続しておきます。
分電盤に各ブレーカーの行き先表示を入れて完了です。
主幹ブレーカーは50A。分岐回路は12回路。
将来、他の部屋にもエアコンが増設できる様にしておきました。

あと、蛍光灯を全部LEDにしたいとのご希望で、、、

5台、LED化させていただきました。

古い袋打ちコードはすべて撤去です。

以前、お客様が触って感電したそうです...
目についた危なそうな延長コードはすべて撤去しました。

ブレーカーの脇に付いていたヒューズボックスを開けて見ると...

ヒューズでなく、芯線が使われていました。
恐ろしいですね。外して良かったです。
宅内の電気工事が完了すると四国電力へ竣工届を送ります。
受理されると引込班が来て、電柱から建物までの引込ケーブルを張り替えてくれます。

隣の倉庫に分岐されていた引込線は、新たに電柱からその倉庫へ直接引き替えてくれました。
いろいろと大変だった様ですが、電力さんが全部対応してくれました。
これですべての工事が完了して、晴れてエアコンが使える様になりました。
「阿部さん、引き受けてもらってホントにありがとうございました。これで今年の夏は熱中症にならずに済みそうです。また何かあったら助けてくださいね。」と、大変お喜びいただきました(^^)
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