昨年11月にエアコン分解洗浄をご依頼いただいたお客様から、「前みてもらったエアコンなんですが、水が出るようになったんです。理由や対策ありますか?」と、メッセンジャーで動画が送られてきました。
室内機左の下辺りから数秒に1回、小さな水滴が落ちています...
エアコンの水漏れの原因には、様々な要因があるため、一概にこれと断言できるものはありません。
ただし今回の水漏れは、当社が分解洗浄した後の、最初の冷房運転での症状ですから、点検にお伺いさせていただきました。
まず最初に、屋外のドレンホースに虫でも入ったかな?と思い、サクションクリーナーで吸い出して見ましたが、異常なし。
室内機のカバーを外して、水が漏れてくる所を入念にチェックしていきます。
どうにも取付けた状態では確認できない所もあるので、室内機を外しました。
室内機を目視点検するも、漏れてきそうな所を確認できず。
ひとつ気になったのが、もともと付いていた背面板の位置。
室内機下面より配管穴がかなり高い所に、前回阿部が貫通スリーブを挿入したため、余計にドレンホースが逆勾配気味になっていました...
もしかするとドレンホースに溜まったドレン水が、ドレンパンとの接続口のところから、じわじわと染み出しているのかも知れないと思い、背面板を適正な位置へ取付け治し。
室内機を元通りに取付けて...
確認のために、ドレンパンへ水を注いでみます。
ポタ...ポタ...また嫌な音が聞こえてきました...
なぜ止まらない??? どこからこの水はやってくるんだ???
少量の水漏れは、原因を見つけるのに毎回苦労します。
これは室内機をお預かりして徹底的に調べたいのですが、点検にお伺いした日は金曜日の夕方遅くでした。
「土日の週末はエアコン無しではちょっと厳しいんで、平日ならなんとか。」と言うことで、週明け月曜日の夕方に取外しにお伺いしてきました。
室内機側面から見た、ドレンホース接続口です。(室内機は天地逆に置いてます)
後方から見るとこんな感じです。
ここに付いていた白いホルダと発泡スチロールを剥いで見て、発見しました!!!
ドレンパンに「クラック(亀裂やひび割れのこと)」が入っています↓
間違いなく、ここからの漏れですね。
お客様にもご確認いただきました。
持ち帰って、分解してみます。
ドレンパンの内側から確認。
ダメですねこれは。
補修という安易な方法では修復できません。
まだ部品のある年式のエアコンですから、早急に部品手配。
2日ほどで入荷しました。
このタイプはドレンパンとボディが一体型のため、ごっそり取替えします。
部品代も結構な費用になりますが、仕方ありません。
新品なので当然ですが、クラックなどは見当たりません。
再度組み立てる前に、どうしても気になる事がありました。
「なぜドレンパンにクラックが入っていたのか?」
「自分が洗浄するまで水漏れしていなかったものが、なぜ水漏れする様になったのか?」
どうしても調べたくなりました。
過去に何度も同じ経験があるんです。ドレンパンにクラックが入る現象。
それは阿部の嫌いなダイキン製品でよく起こる現象でした。
ネットで検索すると、同じ様な修理を経験されている方が多いです。
原因の多くは「熱交換器からのガス漏れ」。
え?ガス漏れで、なんで水漏れが起こるの?って、普通は思いますよね。
結構多いんです。ガス漏れが原因での水漏れ。
熱交換器から漏れ出したガスは、配管内部で一緒に循環している冷凍機オイルと共に漏れ出してきます。
大量のオイル漏れはドレンパンに垂れ落ちて、樹脂製のドレンパンで化学反応を起こし、樹脂を硬化させクラックが入ってしまいます。
樹脂の素材にもよるんでしょうけど、ダイキンに多いです。
今回のエアコンは富士通ゼネラル製ですが、ドレンパンの素材感はダイキンとよく似ています。
なので、嫌な経験をたくさんしてきた阿部には、どうしても確認して納得しないと、再組立てはしたくなかったんです。
熱交換器の気密テストをしました。
大量の水を張って、その中へ窒素ガスで加圧した熱交換器を沈めます。
半日以上置きましたがガス圧が下がる事もなく、かなり目を凝らして気泡がでていないか確認しましたが、まったく異常箇所は見つからず。
良かったのか悪かったのか、クラックが入った原因の特定までは至りませんでした...
とりあえずボディ一体型のドレンパンは新品になりましたので、今後水漏れする事は無いハズです。
もともと小さなクラックがあった物を、阿部が分解した際に広がったのかも知れません。
何が原因か判らない以上、最後に触った阿部の責任です。
「忙しい時期に対応していただいて、ありがとうございました。また何かお願いする事があったら声掛けますからね。」と、労いのお言葉をいただいたお客様に、心から感謝いたしております。
また、蒸し暑い時期に大変ご迷惑をお掛けしました事を、心よりお詫び申し上げます。
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